今年4・5月の大型連休中に、東京・日本橋の三越本店にて〈イタリア展〉なる催しが開催されていました。
イタリア展 2024
本展のために来日するイタリア人シェフが会場内の厨房で腕をふるうイートインメニューから、ご自宅で手軽に味わえる人気店のデリやドルチェ、いつもストックしておきたいイタリア食材や調味料やワイン、初夏にぴったりなファッションや雑貨、アルチザンの芸術的な創作までが一堂に。グルメもファッションもアートも、PART1とPART2 どちらの会期も、どうぞお見逃しなく。
出典: https://www.mistore.jp/shopping/event/nihombashi_e/italia_50
料理や家具・調度品、そしてファッションなど、あらゆる面でイタリア愛を覚える私も足を運んだのですが、そんなイベントで手に取ったアイテムのひとつがこちら。
〈Legame (レガーメ)〉による、革の眼鏡ケースです。
眼鏡ケースについていえば、過去には〈10 eyevan (10アイヴァン)〉による赤銅製のものを取り上げました。
それとはテイストの異なる、エレガントな革のケース。今回はこちらを紹介することとします。
Legameについて
今回のイベントには、Legame主宰のHaruca Kobayashiさんが売り場にいらしたので、色々とお話を伺いながら店頭の色々な商品を目にすることができました。
Haruca Kobayashiさんはイタリア・フィレンツェの工房で修行され、現在は東京で工房を開かれているとのこと。既製品を買い求める際も、私は作り手の方に話を伺い、直接購入することに大きな価値を見出します。商品の素晴らしさもさることながら、今回の催事がとてもいい機会となりました。
冒頭の写真にも小さく写り込んでいる下の紋章、何だろうと思ってGoogle画像検索に懸けてみたのですが、フィレンツェ共和国の国章 (そして現在のフィレンツェ市の市章) であることがわかりました。
反対の面には、工房のロゴが。
入手した眼鏡ケース
それでは、眼鏡ケースを詳しく紹介していきたいと思います。
フィレンツェの伝統工芸
この眼鏡ケースは、革靴のごとく木型に革を釣り込んで成形する、フィレンツェの伝統的な製法で作られているとのこと。手製靴の中底を木型にクセ付けするのと同じように、水に濡らしたヌメ革を木型に釣り込んで成形しているようです。こうした技法は「絞り」や「ウェットフォーム」とも呼ばれている模様。冒頭の写真からも垣間見えますが、店頭には製作中の馬蹄型の小銭入れが置かれていたりもして、「こんなふうに釣り込んでいるんだな」と興味をそそられるものでした。
このフィレンツェの伝統技法において独特なのは、パーツ同士を縫って接ぐのはなく、一見すると継ぎ目がわからないほどに薄く精巧に漉いた革を貼り合わせていること。この眼鏡ケースにおいても然りで、よく見ると下の写真のように側面に継ぎ目があるのがわかります。
使用されているのは素上げのヌメ革で、成形後に手染めされているようです。見たところ、2枚の革のパーツを貼り合わせたのみの作りで、芯などの補強はなさそう。しかし、ノギスでの実測で1.7 mmと厚手の革で構築されており、ある程度ガッチリとしています。
同様の製法による他のメーカーのものづくり
全く別の工房を引き合いに出す形となりますが、こうしたフィレンツェ発祥の革細工は〈Peroni (ペローニ)〉が有名どころかもしれません。百貨店の紳士洋品フロアの革小物売り場に並んでいるイメージ。
まったく別のメーカー製 (東南アジア製) のものではありますが、このLegameの眼鏡ケースと同様の製法で作られたと思しきワイヤレスイヤホンのケースも手元にあったりします。
使い勝手
ところで、写真では下の記事で紹介したフラットレンズの眼鏡を入れています。
基本的には、畳んだ状態で厚みの薄い眼鏡を収納するのに向いています。上の眼鏡を入れた状態で、ケースの厚みは20 mm少々。
薄くて場所を取らないので、クラッチバッグのような容量の小さな鞄と相性がいいです。ジャケットの胸ポケットにも十分収まりますが、個人的には違和感を感じたので断念。逆に、大きめの鞄のメインコンパートメントの中に入れてしまうと、他の荷物に押しつぶされてしまう恐れが。
最後に
今回は、最近手に入れた革小物を紹介させていただきました。
余談ですが、学生時代にイタリア北部の某所で開催された国際会議 (査読有) に参加する機会がありました。幸か不幸か、私の発表は会期の初日。登壇はサクッと済ませ、2日目の午後からはひたすら観光に明け暮れました。電車でいくつかの近隣都市にも赴いたのですが、そのひとつがフィレンツェでした。
日帰り旅行だったのであまり長くは滞在できなかったのですが、地元の革工芸店を訪れたり、Salvatore Ferragamo (サルバトーレフェラガモ) のミュージアムを観覧したり、Santa Maria Novella (サンタマリアノヴェッラ) の総本山で買い物したりと、とても充実した滞在でした。機会があれば再度当地に足を踏み入れたいと願うばかりです。
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