Carusoの変わった小物「Jacket Emptier」

前回、私が愛用しているイタリアのファクトリーブランド〈Caruso (カルーゾ)〉のジャケットを紹介しました。

その中で、当時イタリア・ミラノに存在したCarusoの直営店で「風変わりな小物」を購入したことに触れました。2023年現在、もう販売を打ち切られてしまっているものかもしれませんが、この変わった小物である〈Jacket Emptier (ジャケットエンプティアー)〉を紹介したいと思います。

"Jacket Emptier" by Caurso
“Jacket Emptier” by Caurso

Jacket Emptierとは

そもそも、このJacket Emptierという製品の位置付けは何でしょうか?Carusoの店舗で入手したフリーペーパーには、以下のようにあります。

CarusoのフリーペーパーにおけるJacket Emptierの紹介
CarusoのフリーペーパーにおけるJacket Emptierの紹介

外から帰宅した際に、ジャケットのポケットから中身を取り出して空にし、整理するオーガナイザーである。Pocket Emptier。Carusoが狙ったのは、一般的なPocket Emptierとは違い、ジャケットをしまうクローゼットに馴染む、さらには同ブランドの世界観「The Good Italian」を体現するもののようです。一般的なPocket Emptierとは、下の写真のような革や金属のトレイのイメージでしょうか。

革の小物トレイ (大峽製鞄)
革の小物トレイ (大峽製鞄)

CarusoのJacket Emptierは、見た目はジャケットの前身頃そのものです。

CarusoのJacket Emptierを裏返したところ
Jacket Emptierを裏返したところ。見た目はジャケットそのもの
CarusoのJacket Emptierを裏返したところ

しつけ糸が目につきますが、恐らくこれは外して使うべきものなのでしょう。

ジャケットの内ポケットが、そのまま小物入れとして機能するように作られています。

Jacket Emptierの収納ポケット
Jacket Emptierの収納ポケット

フラワーホールや身頃のボタンホールも、本物のジャケット同様に手でかがってあります。

手でかがられた、ミラネーゼ仕上げのボタンホール
手でかがられた、ミラネーゼ仕上げのボタンホール
身頃のボタンホールもハンド仕上げ
身頃のボタンホールもハンド仕上げ

表地は、前回紹介したジャケットと同様〈gobigold (ゴビゴールド)〉のシリーズのもので、キャメルヘアー100%です。秋冬向けのスーチング (スーツ向け生地) のようです。私が店舗に赴いた際には、これとは別の生地で作られたものが2, 3パターンあったような記憶です。

gobigoldのタグ
gobigoldのタグ

Jacket Emptierの大きさは、実際のジャケットと非常に似通ったサイズです。もしかすると、売れ残りのジャケットをこのように加工してアップサイクルしているものなのかもしれません。タグを見てみると、サイズ50の服として売られていたような痕跡が伺えます。

私がこのJacket Emptierを購入したのは2017年ですが、2017年のジャケットにしてはラペルが細いような印象を受けるのも、売れ残りの再利用を思わせる一端です。

最後に

ちなみに、このJacket Emptierですが、価格は290ユーロでした。本当は洋服を買い求めたいところではあったのですが、前回も言及したように予算の都合上このJacket Emptierだけを手に店を後にすることになりました。

Carusoの直営店と同日に訪れたTeatro Alla Scala (スカラ座)。ドレスコードが思ったよりもユルく、ジャケットすら来ていない男性もちらほら見かけたのが肩透かしだった
Carusoの直営店と同日に訪れたTeatro Alla Scala (スカラ座)。ドレスコードが思ったよりもユルく、ジャケットすら来ていない男性もちらほら見かけたのが肩透かしだった

今回、2回連続でCarusoのアイテムを紹介しました。前回もメンションしましたが、Carusoは、私がトラッド系ファッションに足を踏み入れる際の入り口のひとつとなったブランドです。イタリアのファクトリーブランドの中だと、それほど上等な仕立てが光る部類ではないですが、今でも思い入れを感じています。

サルトリアル (アトリエメイド、と言った方が正しいかも) に軸足を置くようになってからは、Carusoを含むファクトリーの洋服を新たに手に取る機会は減りました。しかし、前回のキャメルヘアーのジャケットを含め、今でもクローゼットにはCarusoのジャケットが数着あり、今後もじっくり愛用していきたいと考えています。

Authored by
Navy Circle

サルトリアル・クラフツマンシップを中心としたクラシックファッションを追いかけるY世代。Respecting the long-lasting classics and craftsmanship

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