Rinascenteの和紙混ニット

昨年の夏に、某アウトレットモールにてとあるニットポロシャツを購入してみました。

Rinascenteのオリーブグリーンの和紙ニットポロシャツ
昨年入手したニットポロシャツ

大阪のOEMニット衣料メーカー「フレックスフォア」のオリジナルブランド「Rinascente (リナシェンテ)」による、コットンをベースに美濃和紙を編み込んだ独特なニットウェアです。

フレックスフォア

ざっくりとしたゲージで、オリーブグリーンの発色が綺麗。

Rinascenteのオリーブグリーンの和紙ニットポロシャツ

とても気に入っており、今年も是非リピートしたい、と思いながら方々をウォッチしていたところ、颯爽とセール商戦に登場したのでリピートで購入してみました。

綿・レーヨン・和紙のローゲージニット

こちらのニットウェアですが、メーカーのWebサイトやSNSなどにあまり情報がありません。一方で、全く同じ仕様・デザインのものをRinascenteブランドではなくODM? で提供している例が見受けられます。

ざっくりとしたドライな肌触りのニット

下の写真からもわかるように、非常にざっくりとした編地となっています。綿・レーヨン・和紙の三者混ですが、麻100%のようなドライなタッチ。着用時の涼感は、その見た目をして裏切られるものではありません。

Rinascenteのミントグリーンの和紙ニットポロシャツ

よく見ると、前身頃とそれ以外とで編み方が異なります。前身頃は恐らく鹿の子編みで、その他は天竺編みでしょうか。理由は定かではありません。

前身頃・袖・襟のニッティングの比較
前身頃・袖・襟のニッティングの比較

洗いやすさ (私の場合)

ところで、夏場の衣服に対して個人的に重視しているのが、日常の洗いやすさ。特にサマーニットにおいては、手洗いがマストだったりすると着るのが億劫になってしまうため、洗濯機でガシガシ洗っても縮みや傷みが少ないものがベスト。

翻ってこちらの洋服ですが、多くのニットウェアと同様に水洗い不可・ドライクリーニングの洗濯表示が。確かに、和紙は水に濡れると裂けたりしそうな印象がありますし、水に濡れると縮みやすいレーヨンも含まれています。しかし、果敢に洗濯機のおしゃれ着モードで洗い、平干ししてみたところ、特に問題なさそうに見受ました。まだ昨年の1シーズンだけではありますが、このように洗濯機洗いで運用しています。

何度か洗濯したもの (左) と新品 (右) の比較
何度か洗濯したもの (左) と新品 (右) の比較

ただし、初回の洗濯時はそこそこ縮みました。今年はそれを見越してサイズを選択。

和紙から糸を作るということ

和紙を原料としたテキスタイル。私は現代になってから登場したものだと思い込んでいたのですが、今回調べてみると古い歴史を持つものであることがわかりました。

下のWebページは、紙糸 (かみいと)、すなわち和紙から作られる糸、およびそれを織った紙布 (しふ) を販売する企業のものですが、紙糸・紙布は少なくとも江戸時代から存在していたことが示唆されています。

紙糸とは何か|美濃和紙、紙糸は松久永助紙店
和紙の主原料として使用しているマニラ麻は強靭であり、耐水性などの素材特徴を持つだけでなく極めて成長が早く、2~3年で生育する環境型の資源です。また、使用後も土の中の微生物により炭酸ガスと水に分解され、和紙は「自然の中から作られ、自然に戻り、...

ザラっとして涼感のあるという点で近しそうなリネン (亜麻) と比較すると、リネンは乾燥させた茎を梳るなどして取り出した繊維を紡いで糸にします。一方、和紙の糸は植物繊維から紙を作り、それを数mm幅の短冊にして、こよりのように撚って糸にしているようです。

リネンのフラックスや繊維、糸、織物、ニット
リネンの茎や繊維、糸、織物、ニット
By Joep Vogels, Textielmuseum Tilburg – Textielmuseum Tilburg, CC BY-SA 4.0, Link

件のRinascenteのニットにおいては、糸の組成は綿・レーヨン・和紙となっていますが、和紙100%の糸というのもある模様。下に挙げた糸の場合、ベースとなる和紙はマニラ麻という草を原料に作られているとあります。

紙糸(和紙100%)2.0mm 玉|美濃和紙、紙糸は松久永助紙店
紙糸はマニラ麻100%を原料として和紙に漉き上げ、紙幅を用途に合わせ1.0mmから10.0mmまでのテープ状に裁断し、撚糸した中空芯の糸です。紙糸を使って機織りしたり、手編でオリジナル作品はいかがでしょうか。また、草木染、藍染、柿渋染などで...

伝統的な和紙の原料といえば、楮 (こうぞ)、三椏 (みつまた)、雁皮 (がんぴ) といった樹木が多いようですが、マニラ麻が使われているのは布地として十分な耐久性を持たせるためなのでしょうか。なお、Wikipediaによると、マニラ麻は麻とは別の植物なのだとか。バナナに近いようです。

栽培されているマニラ麻と乾燥中の繊維
栽培されているマニラ麻と乾燥中の繊維
By MarvinBikolanoOwn work, CC BY-SA 4.0, Link

話を再びRinascenteのニットへ。編地に近寄ってみると、細くて発色の良いレーヨンの糸は見分けがつくのですが、和紙はどのように配合されているのかよくわかりません。

Rinascenteの和紙ニットの編目を拡大
前身頃の編地にクロースアップ

今年買い足したもの

くすみグリーンのニットポロ

1つ目は、昨年入手したものと同じニットポロ。

ニュアンスカラーというやつでしょうか。少しくすんだミントグリーン。

Rinascenteのくすみグリーンの和紙ニットポロシャツ
Rinascenteのくすみグリーンの和紙ニットポロシャツ

ダークブラウンのVネックT

2つ目は、ダークブラウンでVネックのプルオーバー。

Rinascenteのダークブラウンの和紙ニットTシャツ
ダークブラウンのニットTシャツ

クルーネックやモックネックと比べると、Vネックは少し使いにくさを感じます。Rinascenteの和紙混のシリーズに、クルーネックやモックネックの設定があるのかどうかは不明なのですが。ということもあり、購入したもののあまり活用できていません。

Rinascenteのダークブラウンの和紙ニットTシャツ。前身頃を拡大したところ
前身頃のニット組成

ダークブラウンのシャツ型カーディガン

3つ目は、襟の付いたシャツタイプのカーディガン。ひとつ前と同様、ダークブラウンのものです。

Tシャツの上にさらっと羽織れるユーティリティ性を重宝しています。上でインナーとしたのは、ひとつ前の記事で紹介した「United Athle (ユナイテッドアスレ)」の5777-01というモデルの、半袖のTシャツです。

上で言及したニット組織の違いに起因してか、袖や背中は少し透け感があります。

最後に

今回は少しボリュームが小さめとなりましたが、去年に続いてリピ買いしたサマーニットを紹介しました。

和紙の他にも、カシミヤやエスコリアルウール、サマーキッドモヘア、シルクなど、生地・素材にフォーカスした記事をいくつか公開しています。ご関心があれば、併せてご覧ください。

「生地・素材」関連の記事一覧
洋服や靴をはじめとした服飾品の素材、または素材を前面に打ち出した品々を紹介しています。

コメント 本記事の内容について、ぜひ忌憚なきご意見をお寄せください。