日本のスポーツシューズメーカーの雄〈ミズノ〉から、少し変わったアウトドアシューズが展開されていたので、ものは試しと手を出してみました。
〈Wave Mujin TL MID GTX nonnative〉です (以下、「Wave Mujin NN」)。
ちょうどユルい山行用の柔らかい靴を探しており、それに合致しているように感じたのが決め手でした。詳細は下で触れますが、一切実物を見ることなくWebの記事を読んだだけの知識で入手しました。Wave Mujin NN、その実力や如何に。
欲しかった靴の位置付け
この靴を入手する前、私の手元には3つの山用の靴がありました。1足目は、テント泊縦走にも耐え得、かつアイゼンも装着可能な登山靴。2足目は、結構軽量な部類になるトレイルランシューズ。
最後の1足は、スウェーデンのアウトドアメーカー〈Häglofs (ホグロフス)〉の〈ROC Legend Mid GT〉というアプローチシューズです。
私は昔 (アシックスの買収以前) Häglofsを好んで買っていたのですが、残念ながら昨年2022年末に日本市場から撤退してしまったようです。
私はクライミングはしませんが、このアプローチシューズを軽いトレッキング、および天気が荒れた際の街歩きに使用してきました。つま先まわりが頑丈に作られたアプローチシューズは岩場を登るのには向いていますが、整備された道や平坦な道では少し疲れが気になります。
また、最近は山に出向く機会も減ってきたので、雨の日の街歩きはこのアプローチシューズではなく、もう少しタウンユース寄りのものに置き換えようかと考えていました。防水のトレイルランシューズ (今持っているものは水を通してしまう) でもいいかと考えましたが、雨に備えるならローカットよりもミッドカット以上が嬉しいところ。
そうした矢先、Instagramのおすすめ投稿でWave Mujin NNを見かけました。Gore-Texを使用しているとのことで、タウンユースにおける防水・透湿性に心配はなさそうです。また、下のインタビュー記事にて、nonnativeのデザイナーが掲げる「Guidiのブーツのような」というコンセプトがササりました。
–––コラボレーションモデルのテーマ、コンセプトを教えてください
藤井 基になったのは、すべてハンドメイドで創り出されるイタリアの革靴ブランド、グイディのブーツです。もう10年前ぐらいになりますが、海外出張ではよく履いていまして。革靴だけどすごくフィットして多少の雨でも大丈夫なんです。それでコラボレーションモデルは、履きやすくて脱ぎやすい、靴下のような仕様で、こういうテンションのスニーカーを作ったらどうだろうって。
現物を触れる場所が限られている一方、2023年4月15日の発売開始以降在庫が急ピッチで無くなっていく (!) ため、取り急ぎオンラインで注文することとしました。
靴を眺めてみて
今回は、届いた靴を眺めてみての感想に留めようと思います。
やはり、一番の特徴はシューレースを廃したニット素材のアッパーでしょうか。
見た目どおり、芯が入っているつま先と踵以外、アッパー全体が非常に柔らかく作られています。ここまで柔らかいと、たとえルートが平坦で、かつ荷物が少ないシチュエーションでも、遊歩道ではなく登山道に踏み入るのは難しいかなと感じます。ベースモデルが〈Wave Mujin TL〉というトレイルランシューズなので、あくまでトレイルランシューズの一種という位置付けなのでしょうか?
一方で、重量は片足で実測440 gと、かなり重たい部類。あまりスポーツアクティビティは重視されていないのかもしれません。トレイルランシューズをベースとした、ストリート用のスニーカーという位置付けなのでしょうか。
さらに、履き口はサッカーのハイカットスパイクのように靴下状になっています。ここから足を入れるのですが、履き始めだからか足入れには結構苦戦します。ただ、一度足を入れると、ある程度のホールド感を感じます。なお、この靴はGore-Texの防水メンブレンを使用しているようですが、この伸縮性の高い足首部もGore-Texが使用されているのでしょうか?
こうした目の荒いニットの部分、土汚れなどが付着した際に簡単に落とせるのでしょうか…?
靴全体で、つま先の濃いグレーのこの部分だけ合成皮革が使用されています。補強のためでしょうか。
小指側から見た様子。塊感がいいなと感じます。ロッカー構造になっていますが、これは元になっているWAVE MUJIN TLから継承している設計のようですね。
アウトソールは〈Michelin (ミシュラン)〉製。ミズノのWave Mujinシリーズにて一貫して使用しているようです。
ミシュランマンも鎮座しています。
こんなタグも付属していました。
中敷きは何の変哲もないものです。機能性のものに交換してもいいのかもしれません。
眺めた上での総評
最後に、まだ着用していない段階での総評を書き残しておきます。荒れた天気の日のタウンユースには活躍しそうですが、山での使い勝手はかなり限定的に感じます。恐らく、設計者側もこの靴を履いて山の斜面を上り下りすることはあまり想定していないでしょう。一方、トレイルランシューズとしてみると、重さが気になります。
私は、この靴はほぼタウンユースのみで使うことになるでしょう。もし、今後冒頭で挙げたようなユルい山行に出かける機会があれば、この靴を履いてみて思ったところを再度レビューしてみたいと思います。
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