ベルトのバックルや指輪、時計・カフリンクスといったアクセサリーなど、男性の装飾品における金物 (メタルウェア) は銀色が王道です。
一方で、私は金色が好きで、ドレス向けのアイテムについても金色のものを中心に集めてきました。
誂えの際も同様で、例えばドレスシューズの場合であれば、靴紐のセルやモンクストラップのバックルとして金メッキや真鍮のものを選ぶようにしてきました。
しかしながら、ことベルトについては金色のバックルが備わったものは選択肢が限られてしまいます。これは既製品のベルトだけでなくオーダー物のベルトでも同様で、金メッキや真鍮のバックルはそもそも設定が無いことも少なくありません。
私の手元には、バックルが銀色であるために十分活用できていないベルトが1つあります。また、真鍮のバックルが取り付けられているものの、バックルのデザインに違和感を覚えているものもあります。これら2つのベルトのバックルを交換するエピソードを、何度かに分けてお届けしたいと思います。
金色のバックルを備えたベルト
まずは、私の手持ちのベルトで金色のバックルが取り付けられているものを2つ紹介したいと思います。
The Warmthcrafts Manufactureのコードヴァンベルト
1つめは、〈The Warmthcrafts Manufacture (ジウォームスクラフツマニュファクチャー)〉のコードヴァンベルト。
The Warmthcrafts Manufactureは、コードヴァンを含む馬革専門のタンナリーである〈新喜皮革 (しんきひかく)〉によるブランドです。
コードヴァンのベルトの多くは2枚以上の革を継いで形成されていますが、このベルトは継ぎ目のない1枚の革で仕立てられています。
図にまとめてみましたが、大判かつ傷のない革が必要になるだけでなく、革の取り方を考えると歩留まりの良いものではありません。継ぎのない1本のコードヴァンでベルトを仕立てられるのは、タンナリー直営ブランドならではでしょうか。
ただし、オイル仕上げや水性染料仕上げのようにコードヴァン繊維ならではの光沢感が味わえるものではなく、顔料仕上げのものではないかと思われます。新喜皮革や長野県の宮内産業など、国内のタンナリーによるコードヴァンはランドセルに由来する顔料フィニッシュのものが多い印象です。
さて、本題のバックルに目を移します。この金具は鋳物でなく、真鍮の生地を切削して成形されているのだとか。写真に写しきれていないですが、個性的な造形であり、かつ非常に美しく面取りされたバックルです。光沢や色味から判断するに、仕上げは金メッキでしょう。
帯幅は30 mmで、ザ・クラシックと形容できる面持ちのベルトですが、実は活用シーンがあまり多くはありません。このベルトを合わせたい程度にドレスアップする機会が減ってしまっていること、および、ここ数年のトレンドに影響されてベルトレスのトラウザーズが増えていることが要因です。
余談ですが、The Warmthcrafts Manufactureの運営会社の社名は〈株式会社コードバン〉だそうです。ストレートな名前。
Andrea D’Amicoのクロコダイル革ベルト
2つ目は、イタリアの革製品ブランド〈Andrea D’Amico (アンドレアダミコ)〉によるクロコダイル革のベルト。
こちらのベルトは、もともと銀色のバックルが装着された状態で購入したものに対し、私の方でバックル交換を手配しています。
帯幅は33 mm。ややカジュアルに振った雰囲気です。色は限りなく黒に近い焦茶といったところ。私は黒靴にも合わせます。両脇を縁取るステッチが無いのも特徴的です。
彫金による模様が個性的な、真鍮のバックルです。レザークラフト専門店で発見し、購入しました。クロコダイル革の斑 (ふ) と喧嘩することなく、うまく馴染んでいるのではないかと感じています。
一言に金色と言えども、金メッキと真鍮では表情が大きく異なることが再確認できます。
バックルを交換したいベルト
次に、今回バックルの交換を実施したいベルトを挙げてみます。
Orcianiのクロコダイル革ベルト
先に登場したAndrea D’Amicoと同様、イタリアの革製品ブランド〈Orciani (オルチアーニ)〉によるベルト。
大手セレクトショップなどでワニ革のベルトを探すと、Andrea D’AmicoやOrcianiのものを目にすることが多いのではないかと思います。これまたイタリアの〈Vaccari (ヴァッカーリ)〉なども然りですね。
Andrea D’Amicoのベルトに対して実施したように、Orcianiのベルトも購入後早々にバックルの交換に出せばよかったのですが、機を逸してしまい、惰性で購入時のままの状態で使っていました。しかし、最近はバックルのミスマッチのために使用頻度が下がってしまっていました。
帯幅は35 mm。
Giorgio Zoniのシボ革ベルト
次に紹介するベルトは以前伊勢丹で購入したもので、〈Giorgio Zoni (ジョルジオゾーニ)〉というブランド名が焼印で示されていますが、それ以上の詳細は不明です。
過去には、伊勢丹でベルトのオーダー会が開かれていた様子も垣間見えます。
真鍮製のバックルが取り付けられてはいるのですが、少しバックルの存在感が強すぎるため、ほとんど活用ができていませんでした。私はバーガンディ系の色味の靴を数足持っているので、この色のベルトは本来非常に重宝するべきはずなのですが……。
帯幅は30 mmなので、バックルを取り替えることでもう少しドレッシーな表情に仕立て直したいところです。
代わりのバックルをいかに入手するか?
上で挙げた2つのベルトに対して、代わりのバックルをいかに見つけるか。今回は、真鍮ではなく金メッキのバックルを追い求めたいと思います。
そして、諸々調べた結果、東京・蔵前の金具街に赴くこととしました。下の続きの記事にて、詳しくご紹介しています。
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