日本の安価ファッションブランドの双璧を成す、ユニクロ (Uniqlo) と無印良品。そして、この2つからの卒業を目指す人のステップアップ先のファッションブランド。
いろいろなところで提起されているテーマであり、ファッション系YouTuberが再生回数を稼ぐのにお誂えなネタのような気もします。また、ここにはユニクロ・無印良品に加えてGUやしまむら、ワークマンも加えてもいいのかもしれません。
ストリートなのか、モードなのか、トラッドなのか。脱ユニクロ・脱無印良品でどういったスタイルを志向するかにもよりますが、トラッドを目指すなら、または、「30代以降のコンサバ」の着地点を模索するなら、私はメーカーズシャツ鎌倉のアパレルがほどよい具合なのではないかなと思っています。
メーカーズシャツ鎌倉のアパレルとは?
メーカーズシャツ鎌倉は、ユニクロや無印良品と同様にSPA (製造小売) のビジネスモデルを採るアパレルブランドです。すなわち、自社で商品を企画・製造し、流通も行う業態です。加えて、製造工場は自社で有しておらず、外部の工場 (サプライヤー) に委託しているファブレスのようです。こうした点も、ユニクロ・無印良品と同様です。
「メーカーズシャツ鎌倉」という名が言い表すとおり、シャツが主力商品の位置付けにあるようです。その一方で、ジャケットやトラウザーズ (スラックス)、ニットウェアなどの非シャツのアパレルも展開しています。オンラインストアだと、下の四角で囲ったアイテムがそれに相当しますね。
シャツを主眼とした名前のために割りを食ってしまっている感のある非シャツのアパレル商品群に着目し、なぜそれらが脱ユニクロ・無印良品の選択肢として推したいのかを論じていきます。具体的にどんなアイテムを推したいのか、については、下にリンクを貼った次回の記事にて論じています。
どういった人物像をイメージして、メーカーズシャツ鎌倉を薦めたいのか
さて、メーカーズシャツ鎌倉をトラッド・コンサバ系の選択肢として挙げたい旨を冒頭で書きました。メーカーズシャツ鎌倉をユニクロ・無印良品の次のステップに推す場合、その相手の人物像はより具体的にどういったものになるのでしょうか?いくつか特性を挙げてみました。
- 年代は20代後半から40代前半にかけて
- あまりファッションには興味がないが、小綺麗な装いを目指したい
- カジュアル路線よりもトラッド路線。ジャケット・トラウザーズなどドレス系のアイテムをメインとしたコーディネートにシンパシーがある
- (ファッションへの関心の薄さから) 衣服のグレード・品質を見極める眼力はないが、周囲からの自らの評価を考慮し、それなりに質が良いとされるものが欲しい
- 秋冬シーズンの衣類 (鞄や靴、その他小物は除く) の予算としてワンシーズン10-15万円ほどを投じられる (脱ユニクロ・無印良品という目線だと予算には大きなギャップがあるが、それを可能とする可処分所得がある)
ポイントは、「ファッションに興味がないが、小綺麗に装うための投資はできるので、コスパに優れたものが欲しい」ペルソナを想定しているところでしょうか。
ファッションに情熱を注げる方であれば、試行錯誤しながら自らの最適解を見つければよいでしょう。特にトラッド・コンサバであれば、早々にパターンオーダーを含む注文服の世界に足を踏み入れてみてもいいのかもしれません。一方で、ハズさない無難な選択肢が欲しい方、定番やマニュアル的な答えが必要な方には、メーカーズシャツ鎌倉が一つの局所解になり得るのではないか、という主旨となります。
ただし、ユニクロ・無印良品と比べるとメーカーズシャツ鎌倉のアイテム単価は大きく跳ね上がります。ユニクロ・無印良品以上でメーカーズシャツ鎌倉よりも安価な選択肢は多くあるはずです。一方で、メーカーズシャツ鎌倉のアパレルは価格と品質のバランスが良いと個人的に感じます。そうしたことから、ファッションはよくわからないが質の良いものが欲しい、コスパにこだわりたいというニーズには沿っているのではないかと考えます。
メーカーズシャツ鎌倉の「コストパフォーマンス」
ユニクロや無印良品をはじめとしたファストファッションに求められるのは、商品価格の安さに加えてコストパフォーマンスも挙げられると思います。そして、衣服の「コスパの高さ」を測る指標のひとつに、原価率が挙げられるでしょう。
言うまでもなく、原価率だけでコスパを語ること大変乱暴な議論です。同じ素材・品質の服を作るにしても、その原価は仕入れ経路や工場の効率によって大きく左右されます。また、コスパを左右するのはコストだけではなく、商品から感じ取れるブランド価値や満足度にも左右されることでしょう。原価率は、あくまでひとつの側面と踏まえる必要があります。
ところで、ユニクロの原価率はどういったものでしょうか?ユニクロを運営するファストリテイリングの決算情報をざっと眺めてみたのですが、ユニクロ事業単体の原価率を見出すことはできませんでした。2022年8月期の決算報告によると、ファストリテイリングのグローバル事業全体で49.7%とのことです。ファストリテイリングの総売上高におけるユニクロ事業 (グローバル) の割合は84%と支配的なので、ユニクロ事業の利益率はざっと50%と見積もって大きく間違いはないでしょう。
一方、下のメーカーズシャツ鎌倉のWebサイトには、同社の原価率の目標が50%であることが謳われています。ただし、これは主力商品であるシャツに限ったものなのか、それともこの記事で着目するような商品にも適用されるのかは定かではありません。
原価率に関しては、メーカーズシャツ鎌倉はユニクロと同様のレベルで競おうとしていることが垣間見えます。百貨店ブランドやセレクトショップなどの原価率はざっくり20%程度とされており、ユニクロを含むファストファッションと同等のコスパを期待するのであれば、メーカーズシャツ鎌倉は悪くない選択だと思います。
余談ですが、メーカーズシャツ鎌倉と同様にアパレル業界の中でも高い原価率を謳うSPAとして、「Studios」や「United Tokyo」などのブランドを展開するTokyo Baseの名前も挙げることができます。ただ、こちらはトラッド目線で語ることは難しいので、解説は他の方に委ねたいと思います。
最後に
ここまで、脱ユニクロ・無印良品という切り口でメーカーズシャツ鎌倉を取り上げてみました。
お薦めしたい対象の人物像と原価率の議論に留まりましたが、具体的なお薦めポイントと注意点も併せて発信したいところです。次の記事にて、そうしたポイントを紹介しています。ご関心があれば併せてご覧ください。
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