ここ数日、東京では寒い日が続いています。
今シーズンはこれまで手袋を引っ張り出すことはなかったのですが、久しぶりに手に取ったのが今回紹介するアイテム。イタリア・ローマ発の「Merola (メローラ)」による、キルティング風デザインの手袋です。
Merolaといえば、ネクタイでも知られたメーカーです。
今回は、このMerolaの手袋について触れたいと思います。
素敵な手袋との出会い
かれこれ十数年来の付き合いとなる、この手袋。
本品は、ひと昔前に東京・新宿の伊勢丹メンズ館で見つけたもので、そのリラックスした雰囲気に一目惚れ。しかしながら、当時はあまり経済的な余裕がなかったために即座のお持ち帰りとはならず、でした。その後も3度ほど店頭に赴き、悩みに悩んだあげく購入したという顛末です。
その後、下でも紹介する英国の「Dents (デンツ)」やイタリアの「Madova (マドヴァ)」のものなど、他の定番メーカーの手袋も入手したのですが、今でも最も気に入っているのがこちらの手袋です。
内縫い・鹿革・ステッチのコンビネーション
表面には、茶色の鹿革が使われています。手の甲側にはキルティング状のステッチが施されているのが特徴です。
油分を多く含んでおり、柔らかいと同時に入念な手入れをせずとも長く使えるとされている鹿革。その丈夫さゆえ、戦国時代の甲冑にも多く使われていると言われています。鹿革のファッションアイテム、一見ありふれていそうでいて、実はそこまで多く見かけるものではないかもしれません。私の手元には、今はサイズアウトして着られなくなった鹿革のレザーシャツジャケットがあったりします。このジャケットも、10年近くハンガーに吊るしっ放しの割にモチモチ感が損なわれることはありません。
話を手袋に戻します。ライニングはカシミヤのニット生地。保温性は十二分です。
私の手元にある他の手袋
愛用品という切り口で記事を書き始めてみたものの、どういうわけか思ったほどに筆が進みません……。あまりにも内容が薄くなってしまいそうなので、本題のMerolaのもの以外の手袋についても簡単に紹介したいと思います。
Dentsによるヘアシープレザーの手袋
まずは、Dentsのヘアシープレザーの手袋。
ヘアシープ (Hair sheep) と呼ばれる種類の羊の革を使用したものです。ヘアシープは、その名のとおり (ヘアーは刺毛の意。産毛 (フリースまたはファー) の対義となる) 毛質が固く羊毛採取には適さないのですが、食肉の質、および革質はヘアシープの方がよいとされているようです。
先のMerolaの手袋と同様に、カシミヤニットのライニングが使われています。また、外縫いのステッチはミシンではなく手縫いとなっています。メーカーを問わず、ペッカリーの革を使った手袋には手縫いのものが多いですが、シープスキンの手袋で手縫いは珍しい部類かもしれません。
上記のとおり、上質な素材と手の込んだ仕様が光る手袋。しかしながら、英国のWebサイトから個人輸入した当時の価格はたったの66英ポンドでした。円安ポンド高だったので為替は不利だったのですが、日本円換算で12,000円弱で入手できました。現在だと定価は200英ポンドを超えているようです。
Madovaの起毛革の手袋
最後の1点は、Madovaの起毛革の手袋。起毛革はヌバックではなくスウェードだと思われます。
バイカラーであるこの手袋は、バーガンディーの靴や茶色のスウェードの靴とのペアリングに便利です。
擦れて退色した部分に色を塗る
さて、話をMerolaの手袋に戻します。
上に掲載した写真からも垣間見えますが、指先や袖口が擦れて退色してしまっています。そこで、そうした箇所を補修してみます。
使用するのは定番の補修剤である、フランスの「Saphir (サフィール)」から提供される「レノベイティングカラー」です。今回は簡単のため、複数の色を混色したりはせずにダークブラウンのもの1色を使用することにしました。レノベイティングカラーそのままだと伸びが悪いので、同じSaphirの「レザーバームローション」で薄めて使用します。
この2つを混ぜて、綿棒で退色した箇所に塗り進めていきます。
3度ほど塗り重ねました結果がこちら。塗りムラや塗り残しがあったりしますが、退色は多少目立たなくなりました。
袖口も同様です。
最後に
今回は短編となりましたが、私の愛用品である鹿革の手袋を紹介しました (それだけだとネタに乏しく、勢いで別のアイテムも紹介する流れとなりました)。
Merolaの手袋以外にも、私の愛用品と題していくつかの品を紹介しています。もしご関心があれば、下のリンクからその一覧をご確認ください。
また、手袋以外の小物についても、過去にいくつか記事を公開しています。よろしければ、下のリンクから併せてご覧ください。
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