今年になって、40 Gbpsの帯域をサポートするUSB4の外付けSSDエンクロージャが多く出回るようになりました。
私がこれまで使用していたUSB 3.2 Gen 2接続の外付けSSDは、内部的にはシリアルATA (SATA) 接続された低速なもので、写真や動画編集時のアクセス速度に少し不満がありました。そこで、USB4対応のSSDエンクロージャの定番商品のひとつと思しき〈Satechi (サテチ)〉の製品を導入してみました。
台湾のチップメーカー〈ASMedia (エーエスメディア)〉による〈ASM2464PD〉というI/Oコントローラを搭載しており、ホストPCとPCI Expressでトンネル接続されていることがわかります。これにより、内臓ディスクと謙遜ないディスクアクセスが可能に。
第4世代・4レーンのPCI Express (PCIe Gen 4 x4) での外付けディスクアクセスが可能な製品として、Thunderbolt 3インタフェースを備えるエンクロージャが以前から存在していましたが、今回私もようやく最新技術にキャッチアップすることができました。
マウントするSSDをどれにするか迷いましたが、性能と価格のバランスが取れており、かつ評判のよい〈Crucial (クルーシャル)〉の〈T500〉シリーズを選択。
ちょうど〈Amazon.co.jp〉のセールイベント〈Amazonプライム感謝祭〉が開催されていたこともあり、SatechiのエンクロージャとT500を購入したのですが、非常に厄介な目に遭ってしまいました。今回は、そのいきさつを紹介したいと思います。
最初に届いたCrucial T500 SSDとその荷姿
上記のとおり、Amazonプライム感謝祭の期間中にAmazon.co.jpで件のSSDを購入しました。Amazonマーケットプレイスのセラーによる出品商品ではなく、選んだのはAmazon.co.jpが販売する商品です。セールイベント中でしたが、本品は特別な割引はなく、Amazon.co.jp上での平時の価格と変わらずでした。
言うまでもないことですが、今回のエンクロージャに搭載して使用するのは、それ自身が筐体に格納されていないベアのSSDとなります。PCB基板剥き出しの精密機器なので、通信販売で購入する際はそれなりに気をつけて梱包してほしいものです。
ペラペラの紙封筒で到着
しかしながら、実際に届いた時の荷姿は下のようなものでした。
なんと…… このように、薄いボール紙の封筒にそのままパッケージが収められた状態で、郵便受けに投函されていたのです。パッケージは、この紙の封筒を除いて一切梱包・保護されていません。
さらに言うと、封筒には穴まで開いています。もはや、元箱に宛名書いて切手貼って送ってこられたのと大差ありません。
今回購入したCrucialのT500は、バルク品ではなく立派なリテール品として売られている製品。メーカー・代理店からAmazon.co.jpの倉庫までは適切な梱包のもと輸送されているものと想定しますが、エンドユーザーの手に渡るまでの最後の一歩がこれほど杜撰では元も子もありません。
上記のようにリテール品である本品には、メーカーの5年保証が付与されています。また、今回使用するSSDは、一応定期的に別のディスクに記憶領域全体の差分バックアップを行うため、予期せぬデータ損失による損害は運用上回避を図るかたちとなります。ただ、それでも遭遇時の混乱や復旧対応の手間を考慮すると、極力不具合は回避したいところです。そして、小売店からの発送のフェーズでそのリスクが高まることを、甘んじて受け入れることには抵抗感があります。
Amazon.co.jpのカスタマーサービスに連絡
ということで、ちょっとこのままでは受け取れないな…… と、Amazon.co.jpのカスタマーサービス窓口に返品の相談を進めることにしました。
こんな荷姿で届いたことを伝えると、電話口のカスタマーサービスの方からは申し訳なさそうなコメントが。「しっかり梱包したものを送り直すので、手元の商品は返品してくれ」との打診があったので、それに従うことにします。
2回目に届いたT500とその荷姿
しっかり梱包して送り返してくれるとの話でしたが…… 全く同じ荷姿で届きました。今回の代品は元の商品を変更するよりも前に届いたので、並べて記念撮影。
Amazon.co.jpのカスタマーサービスに連絡 (2回目)
再度Amazon.co.jpのカスタマーサービスに問合せ。前回とは別の担当者ではありますが、ちゃんと梱包して送ってくれるって言ってたのに…… とやんわり不満を伝えると、また平謝り。
今回のサポート担当者曰く、カスタマサービス部門側で個別に梱包を厳重にするよう出荷部門に指示することは元来不可能で、前回の担当者の回答には誤りがあったとのこと。いずれにせよ、このままだと交換品も受領して使うのは心許ないことを伝えると、ユーザーによる購入時のオプション選択によって梱包を厳にする特別なアプローチが案内されることとなりました。
ギフト包装を選択することで、梱包が頑丈になる?
※以下の内容をご覧になった後は、必ずさらに下のオチをご確認ください
担当者曰く、レジにてギフトオプションを適切に設定すると、追加の費用負担なく梱包がしっかりとなされた状態で発送されるとのこと。これは初耳です。
具体的には、下のスクリーンショットのようにギフトオプションを設定し、かつギフト包装を「利用しない」にしておくと、がっちりパッキングされて出荷されるとの話でした。
ただし、この段取りで再度商品を出荷してもらうためには、2回目に届いたものも返品のうえ、再度新規に購入手続きを踏む必要があるとのこと。この時点でかなり辟易していたのですが、話のネタにはなりそうだ…… という下心で対応を進めることとしました (現にこの記事を作成できたワケで)。
3回目に届い (ry
\ドーン/
上の写真は、届いた段ボール箱の封を開けた直後の状態を写したもので、箱の中の緩衝材を取り除いたりはしていません (そもそも緩衝材など充填されていません)。たまたま別の商品と同じ便になったためか、今度は無造作に段ボール箱に放り込まれた状態で届きました。これは、前回・前々回よりも少し進歩したと言えるのだろうか。
Crucialのサポートに相談
1回目・2回目は論外だとして、3回目の梱包はセーフなのかアウトなのか。SSDのパッケージが段ボールの中で暴れまわりそうですが、一応そこそこがっしりした段ボール箱に守られてはいます。
この疑問を解き明かすため、Crucialのカスタマーサポートに、上の写真を含め今回の商品到着時の荷姿がわかる写真を送付しました。その上で、こうした状態でエンドユーザーの手元に渡った製品に対し、同社が定める所定の性能・品質が担保されるのかを尋ねてみました。
公開の許諾を得た上で書きますが、答えは「否」でした。すなわち、こうした荷姿で届いたT500に対し、製造元のCrucialは性能・品質を担保できないとの回答を得る結果となりました。
これ以上の問題は追及していませんが、Crucialのようなメーカーが今回のような発送の実態を垣間見たからには、Amazon.co.jpのようなディストリビューターへの指導を強化してくれると嬉しいですね。
Amazon.co.jpのカスタマーサービス (ry
ギフトオプションを設定すればしっかり梱包されるって言ってたのに…… (以下略)
今回の担当者によると、上で紹介したようなギフトオプションの設定を行っても、梱包が頑丈になるようなことはないとのこと。前回の案内は一体なんだったんだ……
もう付き合いきれんと、今回も返品することにします。この返品の調整においても擦った揉んだがあったのですが、少し後腐れの悪い結末となってしまった (そして、それを包み隠さずこちらに書くと、たとえそれが事実であってもAmazon.co.jpの名誉を棄損してしまう可能性がある) ため、こちらに記載するのは控えておくことにします。
最終的に購入したのは……
Amazon.co.jpの対応に愛想を尽かした後、最終的にSSDを購入したのは〈ヨドバシ.com〉でした。
荷姿は下の写真のとおりで、箱の中でパッケージが暴れないよう固定されています。完璧な梱包とはいえないかもしれませんが、これなら十分安心感があります。
最後に
今回は、少しネガティブな話題ではありますが、最近遭遇したトラブルについて紹介しました。
Amazon.co.jpの購入履歴を遡ってみたところ、私は同社のオンラインショッピングをかれこれ19年間利用していたようでした。電子機器も数多く購入してはきましたが、今回の事案を経て、私はしばらくはAmazon.co.jpで電子機器を注文することは控えようと思います。そういえば、冒頭で紹介したSatechiのSSDエンクロージャも微妙な梱包で届いたのですが、こちらはそのまま使っています。
ここまでAmazon.co.jpをディスり倒してきましたが、昔と比べて確実に良くなったと感じる点がひとつあります。本件とも関係するのですが、それはカスタマーサポート。
確かに2度の誤案内に惑わされはしたのですが、それを除けば全体的に受け答えが丁寧ではっきりしており、誠意を感じる対応です。また、こちらからの要求に対して安易に妥協せず、できないことははっきりできないと伝えるのも個人的には好印象。昔は詫びクーポンの連発でお茶を濁そうとするような姿勢が気になっていたものです。
仕事上、私もカスタマーサービスを通じた顧客体験の強化というテーマに取り組むことがあるのですが、Amazon.co.jpのカスタマーサービスには、何か特別なメソッドがあるのだろうかと気になる次第です。もしも書籍化されたら、ぜひ読んでみたい。
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