今回は、1年ほど前に導入したGPSロガー「GNS 3000」の紹介をさせていただこうと思います。

ニッチな製品だからか、発売から時間が経った今もレビュー記事はあまり多く見受けません。
そうした中で、特に私と同様に、この製品が「写真のジオタグ」という用途にどの程度使い勝手が良いものなのかに触れていきたいと思います。

この先、ダラダラとイントロが入りますので、この記事の主旨だけ確認されたい方はこちらからスキップしてください。
写真のジオタグとは
近年のスマートフォンで撮影した写真には、内蔵のGPS受信機を使用して取得した位置 (座標) 情報に基づいて、写真に位置情報が埋め込まれるようになっています。
これによって、写真の撮影場所を後から確認したり、地図上に過去に撮影した写真のストックをマッピングしたりするようなことが簡単にできるようになっています。
一方で、コンパクトデジカメやミラーレス一眼などのカメラの場合、一部GPS受信機が内蔵されている製品も存在するものの、多くは単体で位置情報を入手できるような作りになっていません。
一方で、最近のカメラはBluetoothでスマートフォンとペアリングし、撮影時の位置情報をスマートフォンから取得するような連携ができるものが多くなっているようです。
こうした形で、写真に位置情報を埋め込むことをジオグラフィー (地理) のタグ付け、略してジオタグと呼ばれるようになっています。
GNS 3000導入のきっかけ
私が使用するソニーのミラーレス一眼も、上述のようにBluetoothでのスマートフォンの連動機能があります。
しかし、ペアリングが途中で途切れたりエラーが発生したりと、あまり信頼性が高くありません。
そうしたことから、私はミラーレス一眼での写真撮影の際、スマートフォンとの連携機能には頼らずGPSロガーを持ち歩くようにしてきました。
これまで使用してきたのが、Holuxというメーカーの「m-241」という製品でした。
m-241で取得したログデータをAdobe Lightroomで開き、写真への位置情報設定を行なってきました。

出典: https://www.flickr.com/photos/andypiper/2565285367 (CC BY-NC 2.0)
ある時、m-241からデータが読み出せなくなる問題が多発したため、m-241は処分して別のGPSロガーを探すことにしました。
そのタイミングで新発売となっていたのがGNS 3000だったのです。

導入検討時に気になったのは、GNS 3000はターゲットとする用途として「タブレットのカーナビ化」が位置付けられていたこと。
iPadの一部機種を含め、タブレットにはGPS受信機が内蔵されていないものもあります。
そうしたデバイスをカーナビライクに使えるよう、Bluetoothでペアリングできる外部GPS受信機としてフィーチャーされているわけです。
この機能性を満たすうえでは、GNS 3000のようなGPS受信機は最新の位置情報をBluetoothで相手に渡せれば十分であり、時々刻々と変わる位置情報をログに残すような必要はありません。
翻って、私が期待していた用途はGPS座標のロギングです。
製品の説明書きを見ると、GNS 3000にもロギング機能が内蔵されていることはわかりました。
ただし、最終的にAdobe Lightroomにトラックデータを読み込ませるには、データファイルをGPXフォーマットに変換できるようにする必要があり、導入に至ってはその道筋を確立する必要があります。
しかしながら、GNS 3000は具体的にどういったフォーマットでログファイルを生成できるのかなど、マニュアルに詳細な情報が見つかりませんでした。
上記の点を含め色々と懸念はあったものの、物は試しのマインドで無理やり購入して今に至ります。
なお、m-241からの移行先としてGarminの「GLO 2」とGNS 3000の間で迷ったのですが、GNS 3000がAmazon.co.jpのセールで1万円を切ったため、GNS 3000を選んだ次第です。
GNS 3000のログファイルをAdobe Lightroomで読み込むには
結論としては、GNS 3000をロギングモードで使用すると、NMEAフォーマットでデータが保存されるようです。
そうしたことから、私は下の手順でGNS 3000のログファイルをAdobe Lightroomにインポートしています。
- GNS 3000をログモードで起動し、ログを取得
- GNS 3000からmicroSDカードを取り出し、PCでデータを吸い出し
- 2で吸い出したログファイルを、フリーソフト「GPSBabel」を使用してGPXフォーマットに変換
- 3で変換したファイルをAdobe Lightroomにインポートし、写真にタグ付け

上のステップ3は、GUIベースのソフトウェア「HoudahGPS」を用いてもいいかもしれません。
下のような形で指定すれば、変換ができるはずです。

その他、GNS 3000を使って感じたこと・気づいたこと
GNS 3000を使って感じたことを下にいくつか書き連ねてみました。
総評としては、あまり好きでない所とした「microSDカードが不意に飛び出しそうで怖い」という点が強く足を引っ張っているかな… という印象です。
上に書いたとおり、この製品はロガーとしての機能性をあまり重視していない (?) ためか、データを記録するmicroSDカードを格納する機構が大変手抜きになっています。
私は、マスキングテープでmicroSDカードが飛び出ないように補強していますが、あまり見てくれのよいものではありません。
写真のジオタグ用途にGNS 3000をお薦めできるかどうかは、このmicroSDカードの格納に関する不具合を許容できそうか否かで分かれそうです。
GNS 3000のいい所
- 小型・軽量。m-241は円筒形でポケットへの収まりが悪く、カラビナでバックパックに吊り下げるなどしていたが、GNS 3000は服のポケットにしまっておける
- 内蔵バッテリーの充電用端子がUSB-Cであること。それほど頻繁に買い替える機器でもないので、Micro-B端子なら災難だった

- バッテリーは、公称どおり10時間程度持続する。m-241と比べてやや短い程度だが、私のユースケースでは十分。10時間以上の連続計測が必要な場合は大抵モバイルバッテリーも持参しており、モバイルバッテリーで継ぎ足し充電すればOK
GNS 3000のあまり好きでない所
- microSDカードが不意に飛び出しそうで怖い。一応ラッチ機構はあるが、何かの弾みに飛び出てもおかしくない。蓋でホールドするような機構にしてほしい


- 本体に時計表示がなく、カメラとの時刻同期ができない。m-241は時計表示が備わっており、m-241の時計とカメラの時計を合わせることで精密な同期ができた。現状は、スマートフォンの時計が携帯電話基地局の時計と同期している (そして、基地局はGPSの時計に同期している) 想定のもと、カメラの時計をスマートフォンの時計に合わせることで代替している
- 加水分解が免れなさそうな表面仕上げ。私の個体も、あと2, 3年もすればベタベタになりそう…
- LEDインジケータから、ロギングが正常に実行できているのか否かの判断を一目で行うことが難しい。GNS 3000にとってロギング機能はオマケみたいなものなので仕方がないが、ロギング機能専用のインジケータがあると理想的
その他
- サンプル周期は1秒で固定の模様。私の用途には必要十分

- GNS 3000はGPSに加えてGalileoやGLONASS、QZSS (みちびき) にも対応している。より多くの衛星の信号を補足できるので測位精度の向上につながりそうだが、GPSにしか対応しないm-241と比べて測位精度が向上した印象はない。測位精度については詳細に評価してはいないので、これ以上のコメントは差し控え
最後に
GNS 3000を使用したログの取得方法と、GNS 3000を使って感じたポイントを紹介しました。
個人的には、一時期見られたようなレンズ交換式カメラへのGPSレシーバー内蔵の動きが復活してくれると大変嬉しいところです。
最近だと、キヤノンのEOS R3やニコンのZ9といったプロフェッショナル向けの機種にその兆候が見られます。
これは、スマートフォンとの連携による位置情報の取得機能は、プロが必要とする信頼性に達していないことの表れなのかもしれません。
こうした動きが、私の手に届くような中級機種にも及ぶようになると嬉しい限りです。
コメント