手軽なドレスアップ。PCの外装にレザーを貼る

私の職場はMacユーザーが大半を占めており、皆一様にMacBook Proを使用しています。社内会議やワークショップなどの際にPCの取り違いが発生するのを防ぐ、または単に個性を出したいという観点で、PCをステッカーでドレスアップしている人を多く見かけます。

ステッカーでドレスアップしたPCを使う女性

かくいう私もその一人で、自分でデザインした、またはフリーランスのクリエイターに作成いただいたイラストをステッカーにして、仕事用のPCに貼って使っていたりします。ステッカー印刷は、コストの安さや仕様の柔軟性の観点で「シール直送便」のお世話になっています。

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一方、プライベートで使うPCは、少しユニークなドレスアップを施しています。それが、今回のテーマであるレザーを貼るというもの。現在使っているPCの場合だと、A3サイズにカットされたヌメ革や両面粘着シートなどを買い求め、DIYで貼り付けました。

DIYでヌメ革を貼ったPC
DIYでヌメ革を貼ったPC
DIYでヌメ革を貼ったPC
DIYでヌメ革を貼ったPC

そこで今回は、これまで私が試してきた本革を使ったPCのデコレーションについて紹介したいと思います。なお、本稿では市販の粘着シートを使ったDIYについて紹介しますが、PCの外装へのダメージがどのようなものかは一切評価できていません。お手持ちのPCで試される際は、ご自身の責任の範囲でお願いします。

着想と求めるもの

そもそも、PCを革でデコレーションするというアイデアは、20年近く前に上市されたとあるPCから得たものです。

それは、台湾のメーカー「ASUS (エイスース)」の「S6F」という名のモデル。天板やパームレストに型押しの本革があしらわれています。ASUSといえば、2008年頃の「Eee PC」で話題になったメーカー。S6FはEee PCよりも前に登場したモデルで、当時はあまり注目度の高いものではなかった記憶です。残念ながら、私はS6Fの実機を目にする機会は得られませんでした。

筐体の一部に本革を使用したASUS S6F
筐体の一部に本革を使用したASUS S6F
画像出典: https://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0611/22/news001.html (2024年3月取得)
デザインと使い勝手を両立した革張りモバイルノートPC――ASUS「S6F」
本革を大胆に使った斬新かつ高級感あふれるデザインで、この冬注目を集めているモバイルノートPC。それが、ASUS「S6F」だ。

比較的最近だと、「HP (エイチピー)」が「Spectre Folio 13」というモデルを展開していました。筐体の一部に本革が使われているモデルで、数年前にとある打合せにて取引先の方が使っているのを見て「いいな」と思っていました。しかし、この機種は既に廃盤となってしまっているようです。

HP Spectre Folio 13のWebページ
スクリーンショット出典: https://jp.ext.hp.com/notebooks/personal/spectre_folio_13/ (2024年3月取得)
HP Spectre Folio 13(2018年10月モデル)製品詳細 - ノートパソコン | 日本HP
世界初の本革(フルグレインレザー)を採用した13.3インチのプレミアムノートパソコン。2018年グッドデザイン賞ベスト100に選出される等、デザインにこだわった薄型のモバイルノートPCです。限定カラーのボルドーバーガンディー色も発売中。

MacBookシリーズに代表されるように、昨今は筐体にアルミニウム合金を使用するPCが大半となっています。無機質でミニマルな雰囲気がユーザーに好まれているのかもしれませんが、個人的には上の2機種のように、まるで「革の手帳」のような佇まいを持ったPCが理想的だと考えてきました。革の質感や暖かさを享受したいことに加え、金属だとなかなか味わえないエイジングも楽しめればという狙いです。

加工済みのキットを使う

そうしたなか、過去にPCを新調したタイミングで本革のドレスアップキットを使って構想を具現化する機会に恵まれました。

2017年頃のことですが、下のInstagramを投稿している方が、Macの一部機種やiPhoneなどを対象とした本革の装飾シートを販売していました。裏面が粘着できるように加工されたものです。

私はMacBook Proの天面・底面用の本革のキットを購入しました。両面合わせて、送料込みで100米ドル程度のものです。下の写真はやや明るめに写っていますが、少し落ち着いたバーガンディで、スムースなヌメ革を切り抜いて製作されたものです。

バーガンディーの革を貼ったPC
バーガンディーの革を貼ったPC

天面のリンゴマークの切り欠きは、注文時に有無を指定することができました。私はこうした不必要なブランドロゴは排除したいと考え、切り欠き無しでオーダーしたために上の写真のような見栄えとなっています。

底面については、吸排気口やゴム足に沿って切り欠きが設けられています。レーザー加工機を導入して裁断しているという話を聞いた記憶があります。

バーガンディーの革を貼ったPC
バーガンディーの革を貼ったPC

上の写真は、本革シートを貼ってから5年ほど経過した時点のもの。このPCを使っていた当時はBYOD (Bring your own device)、すなわち私物のPCを仕事に使ったりもしており、頻繁に持ち歩いていました。革の性質も相まって、かなりエイジングが進んだなと振り返っています。このPCは買い替えのために既に手放してしまい、せっかく米国から取り寄せた本革シートも処分してしまっています。

DIYで本革を貼る

さて、前述のようにPCを買い替えたのですが、そのタイミングでは前回本革のドレスアップキットを購入した販売元の方はビジネスを畳んでしまっていました。また、当時は買替先のPCがリリースされたばかりでアクセサリが揃っておらず、代わりになるようなものも見当たりませんでした。そこで、新しいPCに対しては、DIYで天面に革を貼ってみることにしました。

ここからは、私が実際に試した手法について紹介します。ただし、実際に工作をしたのはこの記事を作成する数年前。当時の様子を写真に収めることができていないたいめ、文章中心の説明となることをご容赦ください。

1. 革の調達

まずは、材料となる革や副資材の調達から。

革は、直近で何度か材料を購入したことのあった「レザーマニア」で探すことにしました。

レザーマニア本店通販|天然皮革・レザークラフト材料専門店
日本最大級のレザークラフト材料専門店のレザーマニア本店通販はレザークラフト材料を販売。少量で購入可能な天然皮革の切り革が豊富。栃木レザー、姫路レザー、ブライドルレザー、ルガトショルダー、マヤ、アラスカ、エルバマット、タンロー、ヌメ革、毛皮

前回はバーガンディの革としましたが、今回はダークネイビーのヌメ革を選ぶことにします。なかでも、過度にオイルアップされておらず、かつ表面がスムースな革に絞り込むことにしました。レザーマニアでは名刺サイズのカット革を数百円で購入できるので、まずは色味の気になるヌメ革をいくつか選び、名刺サイズの革をサンプルとして購入します。

ネイビーブルーでスムースなヌメ革のサンプル
ネイビーブルーでスムースなヌメ革のサンプル

サンプルを見比べた結果、ベルギーのタンナリー「Masure (マズル)」による「Rugato (ルガト)」を使うことにしました。上の写真にある5つのサンプルのうち、切り欠きがあるものです。ダブルショルダーでトラがくっきりと出てくるのが特徴の革です。

ショルダー特有のトラを活かしたRugato
ショルダー特有のトラを活かしたRugato

Rugatoは過去に下の記事で紹介したクロコダイル革の小銭入れの内装に使ったこともあったのですが、そのきっかけはこのPCの革の検討をしていた際に取り寄せたサンプルが、メインで使おうとしていたクロコダイル革の色とぴったり合致していたことがあります。

PCのサイズをカバーするのに必要十分なA3サイズを選択し、厚みは0.6 mmとしました。

スクリーンショット出典: https://leathermania.jp/view/item/000000007057 (2024年3月取得)
レザークラフト皮革の【切り革】牛ヌメ革/ルガト/紺
【切り革】牛ヌメ革/ルガト/紺を販売しています。レザーマニア本店通販は、約10万点の皮革・キット・道具・金具・ファスナー・染料・型紙のレザークラフト材料専門店です。

2. 粘着シートの調達

次に、PCの筐体に革を貼り付けるための接着剤探し。

「革 接着シート」などとGoogle検索していると、とあるレザークラフトのオンラインストアで販売されている下の商品に辿り着きました。そのストアの説明を見るに、革の床面には使えるようですが、金属に向いているのかは不明。とりあえず、物は試しと購入してみました。

PCに革を貼るための両面粘着シート
PCに革を貼るための両面粘着シート

上で言及したRugatoのサンプルを一部切り取り、粘着シートを貼り付けてPCに貼ってみたところ、うまく接着することができました。そこで、この粘着シートを使うことにしました。

3. 型紙の作成

適当な厚紙を使って、型紙を起こします。

今回革を貼るPCの四隅はカーブが掛かっています。そこで、コーナー定規を使ってカーブの曲率を測り、型紙に反映しました。

型紙作成に使用したコーナー定規
型紙作成に使用したコーナー定規
テンプレート TP-1 コーナー定規 - シンワ測定株式会社
天板の四隅のカーブ
天板の四隅のカーブ

4. 革の床面への粘着シートの貼り付け

A3サイズの革をPCの天面よりも少し大きいサイズに裁断し、床面に粘着シートを貼り付けます。もちろん、この段階ではPCに貼る側の粘着面の台紙は剥がしません。

5. 型紙に沿った革の切り抜き、そしてPCへの貼り付け

型紙を使って、粘着シートを貼り付けた革を切り抜きます。切り抜いたら、あとは粘着シートの台紙を剥がし、PCに貼り付けて完成。

天面にヌメ革を貼ったMacBook Pro
天面にヌメ革を貼ったMacBook Pro
天面にヌメ革を貼ったMacBook Pro
天面にヌメ革を貼ったMacBook Pro

底面はどうする?

上記のような手順で天面用の工作を進めていた当時、底面も同様に革を貼ろうかと画策していました。

PCの底面には、ゴム足や旧排気口があるため、加工の難易度が少し高いです。特に、円形のゴム足の部分をくり抜くのが難関。

PCの底面。ゴム足や吸排気口があり、革を貼る際に配慮が必要
PCの底面。ゴム足や吸排気口があり、革を貼る際に配慮が必要

そこで、CADで図面を起こし、東京・浅草橋の「浅草橋工房」などレーザー加工機が備わった時間貸しの工作室で裁断をしようかと考えたのですが、結局行動に起こせていません。

浅草橋工房ホームページ
浅草橋工房は、様々なジャンルの工作・DIY等を体験することができる会員制の工作スペースです。 浅草橋工房では、様々なジャンルの工作・DIYを行うための各種工具・工作機械をそろえています。会員の方はこれらの工具・工作機械を回数制限なしで自由に

底面は普段あまり目につかないので、このまま無しでもいいかなと考えています。

最後に

今回は、DIYでPCの外観をカスタマイズしたエピソードを紹介しました。

なお、改めて探してみると、現在は下のような販売者が現行のMacBook Pro向けに同様の商品を販売しているようです。使われている革のグレードは不明ですが、既製品を買ってもDIYしても費用はそれほど変わらなさそうですね。

Real Leather MacBook Cases & Skins. Handmade and Totally Unique.
One of a kind leather MacBook cases and MacBook skins. Made with sustainably sourced natural leather that is remarkably ...

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