YeossalのMTO靴を作る (3) 仕様の紹介

当Webサイトをご覧の皆さま、あけましておめでとうございます。

日の当たらない場所で細々とブログを更新しておりますが、今年もサルトリアルファッションやクラフツマンシップを応援するマインドのもと、筆をしたためたいと思います。

さて、過去2つの記事にて、シンガポールのブティック「Yeossal」でMade-to-order (MTO) 靴を注文した経緯を紹介してきました。

前回は、サイズの絞り込みに向けてフィッティングシューズを購入したエピソードについて触れました。

今回は、選択した仕様を、実際に届いた靴の写真を交えて紹介したいと思います。本記事では各仕様の客観的な紹介に留め、私の所感は次回の記事に持ち越しとするようにしました。過去にもお見せしましたが、靴の概観は以下のようなものとなります。

“Scotts” Semi-Brogue Adelaide Oxford by Yeossal

モデル

現在手持ちの靴のバリエーションを考慮して、今回は下の「Scotts」というアデレードオックスフォードを試してみることにしました。

“Scotts” Adelaide Oxford by Yeossal
スクリーンショット出典: https://www.yeossal.com/products/scotts-mto

トゥーキャップとアウトサイドカウンター (踵のパーツ) にキャラクターラインを持つデザインです。

標準ではキャップにメダリオンなしのクォーターブローグとなっていますが、オプションでメダリオンを施していただきました。

メダリオンが施されたトゥーキャップ | Toe cap with medallion

ラスト

前回の記事で紹介したとおり、ラストは「SG65」を選択しました。プレーントゥが似合いそうなラストと見立てたものの、結局トゥキャップ付きのデザインにしてしまいました。

アッパー

こちらも現在の靴箱の構成を鑑み、濃紺を選んでみました。メインは「Midnight Blue Patina」というハンドパティーヌ仕上げを選択しました。過去にレビューした「Yearn Shoemaker」のハンドパティーヌ同様、イタリアのタンナリー「Bonaudo (ボナウド)」のクラストレザーが使われているようです。

フェイシングと踵のみ、型押しの革を使ってもらうようにしました。こちらは、フランスのタンナリー「Degermann (デギャーマン)」の「Country Calf」というもののようです。

フェイシング周り。Degermannの型押しカーフを使用 | Facing built with embossed calf by Degermann
アウトサイドカウンター。こちらも型押しカーフ | Outside heel counter

革の切り替えは、オーダーページの備考欄からリクエストすることで対応いただけるようですが、事前にメールなどで問合せ・確認をしておいた方が無難かもしれません。

なお、過去の作例を見る限りでは、今回選択したモデルのようにヴァンプ・クォーターの上に踵のパーツがあるモデルでも、踵にシームが入るのが標準仕様のようです。ヒールをシームレスにできないかを注文前に相談したところ、工房に確認したうえで「できない」との回答がありました。しかしながら、実際に届いた靴の踵はシームレスになっていました。当初の要望が叶ったのでよしとします。

ヒール周り。シームレスで作られている | Heel construction. Finished without a seam on top

コンストラクション

全体の雰囲気を見て、ソールはベヴェルドウェストとフィドルバック仕上げのオプションを選択しました。私が注文した当時で90シンガポールドル (SGD) のアップチャージが発生しますが、作例を見る限りではビスポーク靴と同じくらいウェストを攻めてるなという印象を受けており、ぜひ試してみたかった次第です。

また、アッパーに近い色でソールを染色するとともに、加えて、ソール形状をスペードソールにしてみました。ソールの厚みはシングルでハーフミッドではなく、ここでの「スペードソール」はあくまでソールのフットプリントの形状が変わるだけのものです。

ヒールの積み革はテーパーしてもらうようにしました。サンプルを見るとウエスタンブーツの如く傾斜がつくようですが、私は嫌いではありません。

実際に届いた靴を見てみても、かなり攻めたボトミングになっていることがわかります。

フィドルバック仕上げのアウトソール | Outsole. Beveled waist with fiddleback

下の写真は被写界深度が浅くあまり鮮明ではありませんが、ウェスト周りのウェルトステッチは下のようになっています。Yeossalでは、ウェルトとアウトソールの縫付け (ウェルトスティッチング) は標準で機械縫いを採用しているとあります。ウェスト周りはどのように縫っているのかメールで尋ねてみたところ、ベヴェルドウェストの場合はウェスト周りだけ手縫いとのことでした。

ウェスト周りのウェルトステッチ | Closer look at waist stitching

なお、過去に記事で取り上げた芯地ですが、これまたメールで尋ねたところ、先芯はセラスティックのようなものを、月型芯はレザーボードを使用しているとのことでした。この価格帯なので妥当な所でしょうか。

アクセサリー

ラステッドシューツリーを購入しました。私の注文当時、価格は120 SGDでした。シューツリーを何色に染色するかを選べるのがYeossalのMTOのユニークなところですが、今回は靴と同じ濃紺にしました。

ラステッドシューツリー | Lasted shoe trees

最後に

このような感じで、Yeossalでの初めてのMTO靴注文を進めてみました。事前にフィッティングシューズを購入した場合は、注文確定前に前回の記事でも言及したクーポンコードを忘れずに入力する必要があります。

注文確定のメールが届いた後は、出荷まで特に沙汰はありませんでした。次回の記事では、靴の雰囲気や履き心地についてレビューしてみたいと思います。

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