ゆく年2023年。私のベストバイ – ドレスシューズ部門

本日で、2023年も終わりを迎えます。

当Webサイトはというと、1年の締めくくりとして私の今年のベストバイアイテムの紹介に興じております。

前回は、5着のジャケットやトラウザーズ、スーツの中からベストな一着を選ぶドレスウェア編をお届けしましたが、続いて今回はドレスシューズ編をお送りしたいと思います。

「ドレスシューズ」関連の記事一覧
ビスポークのものからアジアの靴職人による既製品・Made to order (MTO) のものまで、私が手にしてきたドレスシューズを紹介します。

今年新たに手に入れたドレスシューズは、木型から削って作っていただいたものが2足。それぞれリンクを示すとおり、いずれも過去にご紹介済みのものです。

なお、下の記事で紹介したマレーシアの「Winson Shoemaker (ウィンソンシューメーカー)」に注文したMTOは、注文時点では今年11月末までに届く見込みでしたが、まだ製作途中との報告を得ています。

エントリー1: シボ革・茶色のエプロンフロントダービー

1足目は、茶色のシボ革で作ったエプロンフロントダービー。

スコッチグレイン型押しのシボ革を使用したエプロンフロントダービー
スコッチグレイン型押しのシボ革を使用したエプロンフロントダービー

下の記事で紹介したものです。

上の記事では、スムースの状態で売られている革に、加工屋で型押ししていただいたという製作過程のエピソードをハイライトしました。くっきりとしたスコッチグレインのシボが、この靴のキャラクターを形作っています。

エントリー2: バーガンディー・オステリティブローグのオックスフォード

もうひとつは、バーガンディーのオックスフォードシューズ。

ヴァンプ (高革) がシームレス仕上げとなった、オステリティブローグのオックスフォードシューズ
ヴァンプ (高革) がシームレス仕上げとなった、オステリティブローグのオックスフォードシューズ

特殊な技法のもと、ヴァンプが継ぎ目のないシームレスで成形されたオステリティブローグです。

ドレスシューズ部門のベストバイは……

今年誂えた2足の靴は、図らずもキャラクターが互いに正反対のものと相成りました。エプロンフロントダービーは、甲のライトアングルステッチやラウンドクローズステッチ (いわゆるスキンステッチ) が綺麗に入るよう固めの革が使われています。流通しているスコッチグレインのシボ革に適切な固さのものがないので、スムースの革にエンボス加工をしたほどです。一方、オステリティブローグは、シームレスホールカットの製法に基づいた釣り込みが行いやすいよう、柔らかい革が採用されました。

また、エプロンフロントダービーは、納品いただいた直後からかなりしっかり履き倒しています。納品の翌々週で、ちょうど梅雨時の3泊4日の出張にもこの靴を選んだほどです。このエプロンフロントダービーは、現在私の手元にある唯一のダービーシューズのため、活躍の頻度も非常に高いです。シボ革なので銀面の傷などはそこまで気にせず履くことができますし、そもそもこの手の靴は野山を歩くことを出自としてということもあり、ガシガシ履くための靴と位置付けています。

茶色のエプロンフロントダービー (靴) に、灰色のウールモヘアのトラウザーズを合わせて
エントリー1のエプロンフロントダービーと、ドレスウェア部門ベストバイのトラウザーズを合わせて

一方、オステリティブローグは、納品当初は履き下ろすことなくただただ眺めて楽しむばかりでした。木型のトゥシェイプやアッパーのパターン、底付けの雰囲気など、私が理想としていたものに強く沿った一足で、履き下ろすのが勿体無く感じていたためです。

バーガンディ・オステリティブローグのオックスフォードシューズと、トープ色のキャバルリーツイルのトラウザーズを合わせて
エントリー2のオステリティブローグとキャバルリーツイルのトラウザーズ

言うなれば、堅牢でユーティリティ性の高いエプロンフロントダービーと、繊細で官能的・技巧的なオステリティブローグ (エプロンフロントダービーも、スキンステッチに目を向けると同じく技巧的だと言えますが)。なかなか甲乙つけがたい2足ではあるのですが、エントリー2: バーガンディー・オステリティブローグのオックスフォードを今年のドレスシューズのベストに位置付けたいと思います。

私にとってのこのオステリティブローグの最大の訴求点は、その造形美。革でできた造形物として、履いているときはさることながら、履いていない時に手に取って眺めたときにうっとりするような美しさを感じます。しかしながら、過去の記事でそうした魅力を十分に発信できていないのは、私の不徳の致す限りです。いつか、この靴の記事も見直し、その魅力が一層強力に伝わるようにできればと思います。

下の写真は、履き下ろしてから3ヶ月くらい経った時点のものです。アッパーは手染めされたものですが、あえて色ムラがでないように染めていただくリクエストをしています。しかしながら、私の手入れの腕と知識不足が原因で、顕著に色ムラが生じてしまっています。あまり神経質に捉えず、これも一つの味として楽しんでいこうと思います。

バーガンディ・オステリティブローグのオックスフォードシューズ
バーガンディ・オステリティブローグのオックスフォードシューズ
バーガンディ・オステリティブローグのオックスフォードシューズ
バーガンディ・オステリティブローグのオックスフォードシューズ
バーガンディ・オステリティブローグのオックスフォードシューズ
バーガンディ・オステリティブローグのオックスフォードシューズ

最後に

今回は、私が2023年に入手したドレスシューズのベストバイを紹介しました。私にとっては、なかなか難しい二者択一となりました。

2023年12月現在、木型から製作いただいている靴が2足、そして冒頭で触れたWinson ShoemakerのMTOの納品を待っているところです。いずれも注文靴ならではというか、個性のある靴が出来上がりそうな見込みです。

上にも貼りましたが、ドレスシューズ関連のアーカイブは下のリンクからご覧いただけます。ビスポークの靴だけでなく、海外の靴職人によるハンドメイドの既成靴やMTOについても紹介しています。

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